ここは、あえてスケスケで。
2020年 07月 30日
閃きは、遡ること2年前の秋頃。
すごく可愛らしいアートディレクターさんの講義を聞いていて、その方のインスタレーションの映像を見ているときでした。
ふと閃いた!
”メッセンジャーバッグをもっとメッセージ性の強いものにしたい!”と。
さて、どうしようかな。
バッグ自体の主張強めよりかは、使い手の主張が強くなるのがいい。
そういう意味で主張強めにするには透明がいいよな。
透明な。
作るの難しそうだな、誰も欲しいて言ってくれなさそうだな、売り方が難しそうだな、とウジウジ悩んだり考えたりしてる間に2年も経過。
時々人にそういう”今考えててこれから作りたいもの”をポロッと漏らしてました。
そしたら、食いついてきた人が一人。
でも、漠然としたアイデアのまま煮詰まらないし、この頃案外コゼバッグさんは忙しく、全然煮詰まらずにいたら”まだか?”と催促。
今のところ、思いつくできる限りを形にしてみよう。
主張強めにしたい部分は使う人それぞれに任せよう。
幸いオンラインショップもあるし、欲しい人は他にもいてくれるかもしれない。
ということで、
大きさは、メッセンジャーバッグSとMの間のサイズ。
この食いついてきたお客さんは右掛けです。
正直、透明は難しい。
中身を見せたいから当然透明ですが、縫製業を営むモノとしては、見せたくない部分も当然あるし、”切りっぱなし”の透明さももちろん欲しいけれど”製品としてのある程度の質”を求めるには、見せてはいけない部分と隠すべき部分と透明部分でオンオフつけたいところ。
コゼバッグとしては珍しく底をせんぶ覆うボトムを履かせました。
これで、底面の透明さは失われてしまいますが、全部全部スケスケも落ち着かないので、これでいいと思います。
特に、素材的に長期を見据えたら底角の痛みが”割れ”を経て”大穴”に変わる可能性もあるので、やっぱりボトムで正解かと。
フラップの開閉はメッセンジャーバッグらしくマジックテープか?と思いましたが、
なぜマジックテープをつけないか?と問われたら、理由は一つ。
マジックテープを縫製した裏面を見られたくないから。
そんなに美しいものでもありませんし、見られたくないものはつけないのがいい。
作ってみて思ったのは、フラップ自体にこの素材独特の”しなり”と重みがあるので、カチッとしなくてもフラップがずれることも風で煽られてパカーんと開くこともないと思います。
主張したいもの、あえて見せたいもの、なくしたくない貴重品、などなど放り込める仕様です。
ポケット以外にはバッグの大きな荷室が一つ。
非常にパッキング能力が試されます。
素材は、アレです。
ビニールの1mm厚のモノ。
厚さ1mmと聞くと、一瞬”薄い!”と思うかもしれませんが、ビニール界では極厚です。
触ると、とても分厚い。
店舗のレジで多用されているアレの極厚バージョンです。
結局ミシンで縫うと重ねて2mm厚、一番分厚くなる底の部分は、よくまあ、ミシンで縫えるな、という厚みです。
で、先に言ってしまうと、三つ作れるだけ材料を仕入れたので、これはあと二つ左掛け用で作ってオンラインショップで販売するつもりでした。
極厚1mmを選んでしまったが故に、バッグの形が完成して最後にショルダーベルトをつける時、平ミシンの腕を通す際に小さな傷をつけてしまい(これは最後検品で傷を発見した際膝から崩れ落ちるほどの衝撃でした)、とても悔しいですが、お値引きして販売予定です。
二つとも傷物にしたショックはかなりなものです。
今年は試作で作ってみて、お客さんの反応を見て、来年どうするか前向きに本格的に考えようと思っていたけれど、来年再販することについてはかなり後ろ向きです。
果たして、これがミシンの腕の通りを良くするために厚みを薄くしてもいいものか否か、そもそも需要があるかどうか、など結局先月まで悩んでいたウジウジが再び到来しています。
正直、素材が素材なだけにちょっと重たいです。
で、素材が素材なだけに、雨の日は全く心配ありません。
ただ、通年を通しての使用は、未知です。
冬の寒さで素材が痛む可能性もありますし、印刷物を入れっぱなしにするとインクがペタッとひっつく可能性があります。
この辺の素材に対する実験的な意味も込めて、今年の試作ということで。
ただ、もしかすると(というか多分おそらく)今回限りで終了の可能性もあるクリアなメッセンジャーバッグは我ながら面白い企画だと思います。
作ってる時は、とても楽しかった。
少なくとも、傷を見つけるまでは楽しかった。
オンラインショップの販売は8月1日の土曜日を予定しています。
傷をつけたことが未だに悔やまれます。
by cosset-cosset
| 2020-07-30 04:36
| バッグのこと