迷うということ、そして、分からなくなる。
2010年 11月 26日
機が熟すまで待つという事。
我が家の話です。
京都に移住しようと言い始め、実際物件を決めてちょうど今で一年が経ちます。
そして、引っ越して来たのが年明け早々。
4つの季節が巡り、また冬がやってきます。
我が家は正直ボロ屋です。
当初非常に心配された冬の寒さも夏の暑さもなんとか乗り越えられました。
今流行の町家とかいうやつの端っこに位置づけられるべき物件なのですが、いかんせん、ガタが激しい。
ハイハイと物件の契約を結んだ後の、友人から一言。
「ねえ、トイレってちゃんと下水きてる?確認した?」
ものすごくその一言にドキドキしたのを覚えています。
幸せな事に家には上下水道が完備されていたので、引越の当日、安堵しました。トイレ外だし風呂はないけど。
引っ越してすぐくらいにリフォームを始めようと心していたのですが、ノウハウのなさ、水回り電気関係をいじる事にドキドキし予算が極端に欠けていた我々は、結局優秀な知人を頼りに、某大学の建築を学ぶ学生にリフォームプロジェクトをお願いする運びとなりました。
そのプロジェクトは、名付けて「風呂ジェクト」
まず、一番不便している風呂を作るという事。
機は熟し、先月より、大学生が家に来たり、ワタシが大学に行き、授業に参加して学生のプレゼンを聞いたり。

ただでさえ小さな自分の住む家が、もっと小さく模型になって、学生たちは各々のプランを発表してくれます。
おそらく、今年の最初に引っ越して来たならば、ワタシは色んな要望は言えなかったであろうけれど、10ヶ月も住んだのですから、アレをこうしてほしい、ココはこうしてほしいとA4用紙4枚に及ぶ要望書を提出し、わがまま放題です。予算が限られているにも関わらず。
言いたい放題の要望書の中で一番学生を困らせているのが、
”自転車10台の収納”
です。
外置きを基本概念とする学生たちには、家の中に10台も自転車を置くなんてどうかしてる と絶対に思ってると思うけれど、そんな素振りは微塵も見せず、色んな提案をしてくれます。

小さな家には我々と学生と、指導する設計集団expoと、先生の夢と希望が詰まってます。
が、ワタシ、授業を重ね、小さな自分の家の模型とプランを聞いているうちに分からなくなって来たのです。
ああ、あれもいいな、コレもいいな。(といっても予算がかなり限られているのですが)
そこで登場するプロのexpoのスマートな現実的な指導と意見。
カバンをオーダーするというハードルの高さにも似て似なくはない状況です。
まず、コゼバッグを買うか迷う。
で、買う事を決めるけれど、色で迷う。
仕様で迷う。
そこで登場するのが、お店のスタッフだったり、アトリエならばワタシだったり。
近くにいるヒトの意見というのはとても重要だったりします。
だからこそ、対面販売の良さがあり、オーダーという(少しハードルは高いけれど)システムにこだわっていたりするのです。
迷ったら一呼吸置いて、また日を改めてオーダーすればよし。だって、逃げないからね。
機が熟すのを待つというのは、ああ、こういう事なんだと、風呂ジェクトを通して実感しました。
迷うくらいなら、一度実物を見においで。

東京でコゼバッグを始めた時は、”茶箱2箱分の生地しか在庫しない”と決めたのですが、今は生地色も増え、選び出したらキリがないほどです。
まあ、そんなに色数もってるとかも、来てみてもらわなくちゃ分からない事で。
何ができるかという事も、来てもらって話をしてみなくちゃ分からない事で。
つまるところ、行動しなくちゃ何も始まらなくて、楽をしていたら、いいモノや心から気に入ったモノなんて手に入らない。けれど焦っても仕方がない。だから待つというのもアリなんだ。という事が言いたかったのです。
ではでは。